MAIN STORY



0  始まり <全1話*03/07/20>

彼女達は救世主だ。この王国の、【エニシィン】の国民の、唯一無二の救世主だ。
私は彼女達を敬意を表して「魔女」と呼ぶ。それは【エニシィン】において、王にも勝る称号となるだろう。


1  魔女の郷 <全2話*03/07/22>

魔法陣の中央に、少年といえそうなモノが当然といわんばかりに座している。
あぐらをかいて、腕を組んで、傲然と胸を張る
――それは異形。金色の目と白銀の長い髪を持ち、尖った耳と小さな牙を生やした少年。


2  薔薇の蕾は木の上で <全1話*03/07/26>

エイファンが携えた手紙には、炎を模った赤い印が押してあった。
赤い印
――炎の魔女の実印。手紙の差出人は、「ドータ・アマテリス」――王の傍らに立つ、炎の魔女――――


3  王国の魔女と傍らの猫 <全3話*04/01/23>

「お忘れなさいませ、殿――。もう、千も昔の事でしょう……?」
労り半分、妬み半分で、ミュウシラは微笑む。ザイオンの心を長きに渡って掴む女の事など、忘れてほしいと
――もう会えないのだからと――。穏やかに微笑みながら、何度も何度も繰り返した。


4  紡ぐ時 響く音 <全2話*04/05/23>

コルティスは領主を睨み据えながら、拳を握った。自分がこの男を裏切る時は、何よりも惨く救い様のない光景がこの男の前に広がるだろう……。
そう思うと荒んだ心が少し、癒える様な気がした
――


5  炎と刃と微笑みと <全7話*05/06/13>

ドータは恐らく、知らなかった。
兵の統制の理由が、ミュウシラの頑張りの理由が、ユリウスの心配の理由が
――。全てが、自分の消えていく命の灯に起因している事を、ドータは恐らく知らなかった。


6  魔女狩り <全10話*06/08/09>

視線の先にはもの言わぬ手。手の平を天空に向けて、肘から先だけのそれが繭から放り出されていた。美しいくらいに滑らかな元気色の肌は焼け爛れ肘の断面は腐り落ちたかの様。ローズの握り締めていた部分は抉れ、中の骨が顔を覗かせている。


7  滅びの刻 <全23話*07/03/22>

「最後の戦場へ、行こうか。この国を終わらせる為に」
 ユリウスはドータの手を取り、慇懃にお辞儀をした。
「全てを解き放つ為に」
 顔を上げたユリウスは、魔女の真実を
――隠されてきた真実を高々と暴いた。
「貴女方の罪の贖罪を」


8  反逆の徒 NEW <連載中>

 大陸の覇者と呼ぶに相応しいタウル国の繁栄は、タウル国現国王ウルグア=タウル十四世の名を世に知らしめた。
 それはけして良い意味ばかりでは無かったが、その名は恐怖と共にあり、また羨望と共にあった。
 どんな感情が伴っても、ウルグアは自分の名が世に知れ渡っている現状を快く感じていた。