サイトのカウンター50万hitを記念した、小話です。 2011/05/28 - 06/30 に開催した第一回キャラ投票に頂いた質問から派生しました。 >> ウィリアム・アンサ Q 幕間で叫んでいたウィリアムさんが可愛くて、好きです。宝石のピアスは誰かからのプレゼントですか? アンサ家の秘密アンサ家はグランディア王国王家アラクシスの始祖、カイル国王が立った頃からの、古い騎士の一族だ。けれど当時の完全なる武者気質とは異なって、どちらかというと現在は頭脳派の人間の方が多いだろう。 特にシリウス叔父が継いだハイネル・アンサ家は政務の位官を常に襲名してきた。 アンサ家からは多くの一族が分家として名を馳せたし、本家の子息としてはそれなりに苦労がある所だ。 国王陛下の近衛騎士団筆頭である、このウィリアム・アンサには、そうとは見えずとも色々な葛藤も苦悩もある。 そんな淀んだ心を癒してくれる存在は、女性の他に居ないのだ。 人とは違う過大な苦労を、アンサ家は何時も女性との接触で癒して来た。それを女好きと揶揄されるのは如何だが、彼らがまだその境地に立てて居ないのだ――仕方の無い事。 何と噂されようと構わない、僕達アンサ家にとって、女性は崇高なる神にも並ぶ存在だった。 女性は女性というだけで美しい。その微笑み一つで草臥れた心を癒し、温もり一つで疲弊した身体を癒す。 けれど彼女達はタダではその癒しをくれはしない。 時に女性は凍土に吹く風のように冷たく、その心は天空のように様々に移ろう。 女性の癒しを賜るのは、容易では無い。 グランディア王国では、貴族やそれに連なる者は16歳で成人とされる。アンサ家も右に同じ、その日は盛大なパーティを伴って祝われる。 けれどアンサ家の男子には、成人のパーティよりも重要な、儀式が待っていた。 アンサ家の男子である証であり、誇り。 その儀式は、アンサ家最大の秘密。 この日の為にアンサの男子は絵画や宝石、美術品、工芸物、建物に触れて育つ。一族の富を集結させて、数多の美しい品で目を肥やす。 そうして己に一際似合う装飾で、身を飾るのだ。 美しい女性に触れえるのは、それに似合う男であらねばならない。そうでなければ、癒しを求めるに値わない。 ――アンサ家の男に洒落者が多いのは、つまりそういう事だ――。 |
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