人は死んだら灰になる。 星になる。 記憶になる。 過去になる。 思い出になる。 そして、いつか忘れ去られる。
君は墓石に名を刻む。 宇宙から見たら瑣末な一生を生きた人の。 何処にでも、幾らでもある名前を。 君は精魂込めて墓石に刻む。
「ただの石に」 「何時か忘れ去られる人間に」 「無駄な事を」
僕は何時か、そんな君の努力を嘲笑ったけど。 今なら分かるよ。
「これはその人が、生きた証になるんだよ」
例え僕を知る人間がこの世から旅立って。 幾星霜経とうとも。 僕が生きた証がそこにある。 君が生きた証がそこにある。
そんな事に、死に逝く僕は。 阿呆みたいに救われた。 |