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「ねぇ、知ってる?」
「……」
「ねぇ、聞いてる?」
「主語を言え、主語を!!!」
背後で鼻を啜る気配。
俺は、気付かない振りをして携帯の画面に集中する。
「知ってるんでしょ?」
泣きながら、君が俺の背に縋った。
ピロリロリン
君の、芸の無い着信音。
背に縋ったまま、君が小さく呟いた。
「私、死んじゃうんだって」
『それでも、愛してるよ』
空に昇った君の遺品の中。
携帯電話にたった一つ残った保護メール。
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