152
震える唇に、キスをする。
少し、涙の味がした。
「泣くなよ」
胸に収まる小さな体を抱きしめる。
「どうして、」
君の声を遮って、もう一度キスを。
「泣かないで、頼むから」
背中に張り付いた君の指に、力が篭る。
言わないで、その先を。
もう一度、キスをする。
血の味が、混ざる。
ランキング
お気に召しましたら、投票頂けると嬉しいです。