ああ 好きだな と思ったのは あんたが偽り無く笑う事
長い指が呪を描く時 私は絶えず恍惚の中にあった あんたの作った文様は 何よりも綺麗
人の世で この感情を何と言うかなんて知らない ただ 大切だと思った
一緒に居ると安らげた 楽しかった 幸せだった 離れる事が恐かった
あんたが見る世界が 澄んでいるのなら 私もソレを 見たいと思った だから 戦火に襲われても たぎる闘争よりも 傍らにある笑みの方が大きかったんだ 不思議と
いつかあんたを失う事は わかってたけど
ああ だからかな 目覚める朝が恐かったのは
ああ だからかな 別れを創造するのが恐かったのは
目を逸らした分だけ アンタの死に堪えられなかった
足元が瓦解して 立っていられない 喉が凍り付いて 息が出来ない 視界が真っ暗で 何も見えない
アンタの声が聞こえない アンタの笑顔が見えない アンタの温もりが感じられない
悼む胸の理由を 人の世で何と言うかなんて 興味ないし 知らない
この喪失の意味が 人の世で何を指すのか 知っているけど言わない
ただ 思うのは 狂いたくなるほどの……
アンタが居ない世界に 生きていく私が流す涙の理由は アンタにしか伝えたくなかったんだ |