「あ、遠山」
大好きな彼が 女に殴られてた
普通の痴話喧嘩の1シーン
「あいつ、彼女居たんだ」
一年前から好きだった。 そんな感情おくびにも出さず、私は平静な顔で言う。 一年前から好きだった。 彼女が居たなんて知らない。
「――彼女、ミス星和高じゃん」 「……へぇ?」
勝ち目なし。 っていうか、一年も前から好きだったのに。 もう、後戻りできないくらいすきなのに。
世の中不条理だ。
「彼女、趣味悪い」 「――あんたもね」
何気ない友人の言葉。 ……一度も言った事ないのに。
「諦める?」 「……諦めない」
そんな簡単じゃないんよと言ったら 友人が笑った
「そんなあんたが好き」 「……ありがと」
――世の中は不条理だ。 |