言葉の断片を繋げて、一つの物語と成す。 SKIN BY PASSION+
UNICO DIARY SYSTEM BY az*
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”彼”は 血を浴びた顔貌に 引きつった笑みを乗せ 僕の顔を見るなり 『失敗した』 と 一言告げた。
それだけで 僕には 全てがわかり どう答えて良いものか わからぬままに 何時も通りに 「そう」 と 返した。

”彼”は 高名な科学者だけれど 僕には解り得ない 高度な難解に行き当たって ”彼”らしくも無く 時間を要していた。
やつれた”彼”に 僕がかける意味の無い 慰めや 応援は ”彼”の心に 何の波紋も起こさず。

僕は 路傍の草の様に ”彼”が気付くまで 黙って 見つめている。
”彼”にとって 僕の紡ぐ 一言以上の言葉は 論外の様で。
『これだから 教養の無い者は』 と 疲れた吐息を漏らし 自身を 悲劇の主人公に見立てて 嘆く”彼”の姿が 最近では 馴染みつつある日常だった。

けれど 学の無い僕でも 分かりきった ”彼”の 最大の不幸とは―― 鏡の中の”僕が 唯一 彼の 言葉交わす対象だという事だと 密かに だが 確実に 思っていた。
 

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