main




picture


novel
表示例 1
NO NAME
連載中 last up 10/03/20
ファンタジー


表示例 2

NO NAME

設定
キャラクター


第一話 01 02 03 04 05 06 07
第二話 01 02 03 04
第三話 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

番外編
名前の無い人 01 02
僕の名前


小説本文ページなど表示例

タイトル no name


 僕らには名前が無い。
 僕ら、というのが何人いるのかも分からない。ただ施設と呼ばれる建物の中、僕らはナンバー1とかナンバー66とかと呼ばれ、ド偉いらしい研究者の集団に身体をいじくりまわされる為だけに存在した。
 僕の場合はミスター灰谷と呼ばれる中年の研究者と二人、トランプの裏面を見て表が何であるかを予想する、という作業にひたすら没頭していた。以前は何十枚という写真を見せられ、それがどういう人物であるかを聞き、再び写真を見てそれがどういう人物であったかを答えるという――記憶力の調査だろうか――作業を半月程させられた。
 時々、よく分からない装置を頭に嵌めて数時間待機させられる事もある。この場合にはミスター灰谷以外の人間を見る事も出来たが、大抵は僕を無視して、ミスターと一緒にわけの分からない話をしている。
 この行為は物覚えついた時から習慣化していたから、退屈だと思った事はあれど疑問に思った事は一度も無い。それ以外の生活の仕方を知らないのだから、比べるべくもないのだ。
 それはナンバーを持つ者の等しい認識だった。

 だからこの施設が閉鎖されて突然に外界に放り出された時、僕らは途方に暮れるしかなかった。
 それでも僕は、恵まれていたのかもしれない。
 何の知識もないまま放り出された仲間達の内で、僕にはミスター灰谷という庇護があった。
 彼のどんな気紛れか知らないが、僕は彼の居住に居候する事が出来たし、彼から外界の事を学ぶ時間もあった。世界がどれ程広いのか、どれだけの人間が暮らしているのか。見る物、聞く物、全てが目新しく、それまでの僕らの生活がいかに異質であったかを知った。
 施設を出てからミスター灰谷は僕を「   」と呼ぶようになった。ミスター灰谷と離別してからは、幾度となくその名前というものを変えた。そのどれもがしっくり来ず、愛着を持てないまま数年が過ぎていった。
 住む土地を変える度呼び名は変った。名前に意味があった事もあれば、無かった事もある。確か灰谷がつけてくれた名前は――意味だけは今も覚えている。「未来」とかという意味を持つ言葉で、大層な呼び名をつけるものだと思った。
 灰谷は日本人という人種で、僕はよく分からないのだけれど北欧系で、だから灰谷のそれとは異なるイントネーションで、ひどく覚えにくかった記憶がある。何度呼ばれても自分の事だと気づかず、灰谷に何度しかられた事か。



……という感じで、超適当に書き連ねた文章なので意味もなければオチもありません。


BACK  TOP  NEXT



Copyright(c)2010 nanasi All Rights Reserved.